映画『未来の食卓』

「未来の食卓」というフランスの映画を見ました。2008年に公開された映画です。

この映画は、南フランスのバルジャック村で取り組まれているオーガニック食材の取り組み扱ったドキュメンタリー映画です。

南フランスというと美しい自然と田園風景が目に浮かびますが、想像とはうらはらに農作物に大量の農薬を使用し、環境による健康被害が子供にまでおよんでいるという現実につきつけられ、バルジャック村では子供を守るためにオーガニック対策に乗り出しました。

映画の冒頭、ユネスコ会議での「あなたの周りに、がんや糖尿病にかかった人はいますか?」という健康科学研究者の問いかけに、出席者のほとんどが挙手しました。ヨーロッパでは、癌や糖尿病などの生活習慣病の70%は食習慣を含む、環境に原因があると言われています。あなたはこの数字をどのようにとらえますか?地球の温暖化、環境破壊にも農業のあり方と食生活が密接に関係しています。この映画は、有機栽培農家と一般農家との対話や、家族を癌で失った主婦の体験を通して、私たちでもできる新しい生活を見せてくれます。

南フランスの状況は、フランスだけでなく、今や世界の問題です。そして、食や環境の問題は日本も安堵していられる状況ではありません。

このバルジャック村の取り組みは、経済的な損失があると最初は反対も多くありました。月日とともに反対する農家の方も、採算のとれるものであると納得し、オーガニックに取り組む姿勢を見せてきました。そして、他の村からも、自分たちの村でも取り組みたいと、このバルジャック村に視察に来る動きが起き始めました。

「ミツバチが消えたら人類は4年後に滅亡する」 アルベルト・アインシュタイン

何年か前に多くのミツバチが姿を消している状況をふまえた環境に対する警告本が出ていましたが、原因は明確に解明されていないものの、農薬や殺虫剤、除草剤などの化学物質との因果関係は否定できないのではないかと思います。

レイチェル・カーソンの「沈黙の春」以来、警笛が何度もありながら見過ごされ、大きな経済のうねりの中でかき消されてきた真実ともう一度向き合う必要があるのではないでしょうか。

この映画「未来の食卓」は、「未来を作るのは今の私達である」ということと、映画の中で子供達が合唱している歌があるのですが「声をあげるということの大切さ」を教えてくれています。

最後に子供達が歌っていた歌詞の日本語訳を掲載しておきます。

平野のセメント 山へ流れ
僕らの田舎や泉に毒があふれる
嵐に暴風雨 僕らの歴史も沈む
合い言葉はいつも「健康なフリを」
暮らしのために空気を買う
石油マネーは命を脅かす
地球のどこにも逃げ場はない
さまよう無断居住者 人ごとじゃない
世界を変える時が来た
樹々を持て 民衆よ
今こそ立ち上がる時が来た
明日に続く世界のために
誰かを責めてる場合じゃない
自分たちが動かなければ始まらない
戦いの時が来た

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