オーストリアの気象地球力学中央研究所(ZAMG)は、東京電力の福島第一原子力発電所で発生した事故により、大気中に放出された放射性物質の量が、旧ソ連・チェルノブイリ原発の事故(1986年)をすでに超えているとの見方を示しました。

ZAMG | 2011年3月26日 google日本語翻訳版

ZAMG | 2011年3月26日 ドイツ語版

ZAMGは、国連の包括的核実験禁止条約(CTBT)の順守の有無について監視する機関です。国連から委任を受け、米国や日本、ロシアなど世界各国で観測網を駆使し、放射性物質の流出量や移動経路を分析しています。毎日、気象状況にあわせて放射能の拡散シュミレーションを発表しています。幸いなことに、放射性物質はおおむね太平洋側に流れていますが、日によっては、内陸部にも流れてきています。本来なら日本の気象庁がこのような予測をするべきですが、データが出ない以上、現在のところは海外のデータをもとに独自で自己防衛されることが必要だと思われます。

New Scientist によると、福島原子力発電所には、約1760トンの核燃料(使用済み燃料も含め)があり、チェルノブイリは180トン。チェルノブイリと比較はできないという専門家もいますが、もし問題の4つの原子炉の一つでも高い放射能を放出する事態になれば人は近寄れません。そして、すべて手がつけられない状態になればどうなるのでしょうか。さらに3号炉には、 プルトニウムが使われており、そのプルトニウムの漏出も29日にあきらかになりました。

3月17日付けの厚生労働省の発表で、食品の安全基準値が引き上げられました。その中には、毒性が強いといわれているプルトニウムも含まれていました。

放射能汚染された食品の取り扱いについて(厚生労働省)

すでに日本の食品の輸入を禁じている国もありますが、安全基準値の引上げは、海外からの観光客ならびに日本の食品の輸入禁止処置をとられてもしかたありません。これ以上悪化しないことを祈りつつ、事態を見守りながら自己防衛、今はこれに徹するしかないようです。